忘れたい記憶なのに! なぜ思い出の曲を聴くと当時の記憶が蘇るの?

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忘れたい記憶なのに! なぜ思い出の曲を聴くと当時の記憶が蘇るの?

忘れたい記憶ってありますよね。

元カレ、元カノ、片思いやずっと好きな人との過去の楽しかった思い出。あるいは、諦めたいこと、喧嘩別れや失恋、職場の人間関係の嫌なことや黒歴史などのつらい記憶。

いいことも悪いことも含めて、誰にでも忘れたいって思うこと、あるのではないでしょうか。

ぼくらは日常ではそんな思い出なんてなかったかのように、記憶の片隅に追いやって、その一角を見ないようにして、なんとかやり過ごしています。

でも、その頃に流行っていた曲を聴いた途端、忘れたい記憶が鮮明に蘇ってしまたりしませんか?

もしそれが冷凍保存されていたとしたら、こんなみずみずしさを保つなんて、ものすごい解凍技術です(笑)

でも、こればっかりは自動的に思い出されちゃいますから、予防しようがありませんよね。そこで今回は、そんな曲や映像とセットで保存されちゃった記憶を思い出さない方法についてお話しします。


ただね、ぼくはこうも思うのです。

ぼくらの人生に起こる出来事って、いいことも悪いことも、ちゃんと意味があるのです。

たとえば、ぼくには離婚でもめた経験、薬物依存症だった経験、サラ金地獄に住んでいた経験、命に関わる病気の経験があります。それらは一般的には出会わないに越したことはないものばかりです。

でも、そんな経験があるから、今のぼくがいます。どれかが欠ければ、きっと今とは違うぼくになっていたことでしょう。

だから、無意味なことなんてないんですよ。

いい出来事も悪い出来事も、全部あなたというジグソーパズルを完成させるためのピースなんです。

忘れたい、もう思い出したくないというのはよーくわかります。ぼくもあんなのもう二度と味わいたくありませんから(苦笑) だから、そういう記憶は忘れちゃえばいいと思うのです。

ただ、自分を作ってきた1ピースであることは間違いないので、黙って立ち去ったりするのではなく、きちんとお別れしたらいいんじゃないかな、と。

きちんと、といっても何も丁重に丁重を重ねましょう、ってことじゃありません。

「いやもうホントに必要なくなったんだ。ありがとね、バイバイ!」みたいなライトなノリでもよいのです。

いわゆる「ケリをつける」ってプロセスが、意外と大きいように思います。

LINEで会話の最後に入れるスタンプみたいな感じで(笑)


Question=====
【相談者:20代女性】

私は営業の仕事をしていて、よくカフェで書類作成などの仕事をしています。ある日、学生時代に付き合っていた彼がデートのときいつもカーステレオでかけていた曲が流れてきました。

その彼とは就職のときに揉めて、つらい別れ方をしてしまいました。カフェでその曲を聞いた途端、楽しかったあのころの記憶がよみがえってすごく懐かしかったんです。

でも、いろんな気持ちがワーッとわき上がってきて泣きそうになりました。

「曲を聞くとそのころの思い出がよみがえる」なんてよく言いますが、どうしてそうなるのでしょうか。良い思い出だけ都合よく思い出すことなんてできないですよね(苦笑)?

========


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A.記憶の作られ方を理解すれば、曲の思い出を変えることもできる

日常の迷宮脱出ガイド、心理分析士の咲坂好宥です。

音楽って、よく聞いていた当時の思い出がまるで魔法のように鮮やかによみがえりますよね。

カフェでかかった曲で胸がキュンと切なくなったあなたのお気持ち、よーくわかる気がします。

どうしてそうなるのかというご質問ですが、それは記憶のしくみと関係しています 。簡単にご説明しますね。



意味記憶とエピソード記憶

数学の公式、大河ドラマの登場人物名、昨日のランチ、バンドで練習した曲のコード進行……。“記憶”と一口に言っても、その種類はいろいろありますよね。

これらは実際、学者さんたちによってちゃんと分類されています。

でもそれらを詳しく説明しだすとキリがないので、元カレとのデートの思い出に関係する記憶についてだけお話ししますね。

同じ学生時代の記憶でも、そのころ勉強したはずの第二外国語や専門分野の細かい知識はかなり忘れちゃいましたよね。ぼくなんて完全に初期化されています(笑)

これらの知識や言葉の意味に関するものは『意味記憶』と呼ばれ、1966年に心理学者のマックス・キリアンによって提唱されました。

一方で、あなたが思い出した「元カレと車でデートしたとき、いつもこの曲がカーステレオから流れていたなぁ……」という記憶はちょっと性質が違いますよね。

なかなか忘れられないエピソード記憶


このように、過去に体験した出来事に関する記憶は『エピソード記憶』と呼ばれ、1972年に心理学者のエンデル・タルヴィングによって提唱されました。

定期試験のために暗記した知識って、何度も何度も繰り返し覚える努力をしてようやく記憶されましたよね。

でも、ぼくらはたった一度しか体験していない出来事をずーっと鮮明に覚えています。この違いって一体何なのでしょうか。



エピソード記憶が最強である理由は、感情にあった

意味記憶とエピソード記憶の最大の違いは、そこに“感情”が伴っているかどうかです。「うれしい」と感じた出来事は、ぼくらにとって好ましいものですよね。

でも「怖い」とか「嫌い」と感じた出来事は、場合によっては生命の危険に関わることかもしれません。

そこで、こんな出来事だとこんな感情が起こる……ということがわかっていれば、生物としてのぼくらが安全に心地よく生きていく確率を上げるための羅針盤になるかもしれません

原始時代の人間が獲物を手に入れたときの「うれしい」や猛獣が現れたときの「怖い」を想像すればわかりやすいですよね。

だから、ぼくらは無自覚ながら“感情”をとても重視しているわけです。

さて、話を戻しましょう。エピソード記憶というのは時間や場所といった出来事だけでなく、この大切な“感情”という情報もセットにして記憶しています。

だから、たった一度の体験でもしっかり覚えられるのも当然といえば当然なのかもしれません。

それだけ感情というのは大切なわけですが、この感情を生み出したり記憶したりするのに関わっているのが、大脳辺縁系といういわば古い脳にある扁桃体


扁桃体
扁桃体。 画像はLife Science Databases(LSDB)のAnatomographyというサイトより



さながら感情の司令塔 といったところでしょうか。さらに、ぼくらが音楽を聞いたときの気持ちをつかさどっているのもこの扁桃体なわけです。

「元カレと車でデートしたとき、いつもこの曲がカーステレオから流れていたなぁ……」というのは、元カレとの会話や見た風景、聞いた音楽、そして最強のパーツである感情までも全部セットにしたエピソード記憶なわけです。

音楽を聞いた瞬間に、過去の記憶が鮮やかによみがえるメカニズム、なんとなくおわかりになりましたでしょうか。



音楽と思い出を切り離したいなら、この方法で

最後に、「良い思い出だけ都合よく思い出すことなんてできないか」というご質問ですが、エピソード記憶というのが生物として心地よく安全に生きていく確率を高めるためのものだと考えると、なかなかむずかしいご相談かもしれませんね。

ただ、もしもあなたが「どうしても……」と言うなら、方法がないわけではありません。それは、別のエピソード記憶を作ってしまえばいいのです。方法はとてもシンプルです。

エピソード記憶を上書き保存する

たとえば今回カフェで流れた曲で元カレとの記憶を思い出したくないなら、その曲を、別の場所で、別の人と、別の感情で聞くのです。

それが印象深いものであればあるほど、元カレとのドライブの記憶は出てきにくくなるでしょう。

以前の記憶にお別れを

もう忘れてしまいたい記憶ですが、ただ、そんな元カレとの日々があったからこそ、今のあなたがいるのも事実ではないかなぁ、と個人的には思います。

今のあなたを作っているパーツのひとつと言ってもいいかもしれません。

だから、新しいエピソード記憶をつくるときには、古いエピソード記憶から単に逃げるのではなく、きちんとお別れするということも大切なのではないでしょうか。

あなたのココロが、ステキな記憶で満ちあふれますように!

楽しい思い出を


【参考リンク】
Episodic and semantic Memory(PDF)


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今日も最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。

咲坂好宥



 

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